
会社を辞めたら健康保険どうするの? 任意継続ってやつがトクって聞いたけど…😅
その「トク」、実は1年目までの話かもしれません。
先に結論をお伝えします。
任意継続と国民健康保険は「どっちを選ぶか」ではなく「いつ切り替えるか」で考えると、いちばん安くなります。
保険料の計算方法がまったく違うので、1年目と2年目で答えがひっくり返るからです。
申し遅れました。
こんにちは、よ~ちゃんです。
お金にくわしいFPですが、会社を辞めたときは選択肢の存在すら知らず、あとから国民健康保険の請求書を受け取った人間です。
- どっちが安いかを決める「3つの数字」
- 東京23区の実際の料率で2年分を計算した結果
- 会社都合で辞めた人が国保で受けられる大きな軽減
- 1年目だけ任意継続にして2年目に乗り換える方法
- 手続きでやりがちなNG3つ
読み終えるころには、「自分はどちらに、いつ入るべきか」がはっきりします。
退職後の健康保険は「3つの数字」で決まる
先に答えです。
どちらが安いかは、次の3つを見るだけで、だいたい決まります。
- 離職理由(会社都合か、自己都合か)
- 去年の年収(源泉徴収票の「支払金額」)
- 一緒に入る家族の人数
なぜこの3つなのか
任意継続の保険料は「退職時の給料」で決まり、家族が何人いても同じ金額です。
いっぽう国民健康保険は「去年の所得」と「加入する人数」で決まります。
見ているものが、そもそも違うわけです。
そして会社都合の退職なら、国保に大きな軽減が用意されています。
「どっちか」ではなく「いつ切り替えるか」
ネットの解説記事は「あなたはどちらを選ぶべきか」で終わりがちです。
ただ、退職して収入が下がると、国保の保険料は2年目にガクンと下がります。
去年の所得で計算するからです。
いっぽう任意継続の保険料は、2年間ずっと同じです。
つまり「1年目は任意継続、2年目は国保」という組み合わせが成り立ちます。
2022年1月の法改正で、任意継続は本人の希望でいつでもやめられるようになりました。
この記事では、その乗り換えまで含めて2年分を計算します。
任意継続とは?保険料は約2倍、でも上限がある
任意継続とは、退職後も最長2年間、勤務先の健康保険に入り続けられる制度です。
保険証の使い方も、高額療養費などの給付も、在職中とほぼ同じです。

じゃあ会社が半分払ってくれるのも続くんだよね?😊
その優しさは、退職日で終了します。
保険料は全額自己負担。だから約2倍になる
在職中の健康保険料は、会社と本人で半分ずつの負担でした。
退職すると、会社が出してくれていた分はゼロです。
協会けんぽの説明でも、退職前に引かれていた保険料を2倍した額になるとされています。
給与明細で引かれていた額を2倍にすると、だいたいの金額がわかります。
ただし「上限32万円」で頭打ちになる
ここが任意継続の最大の武器です。
保険料の計算に使う標準報酬月額には、上限があります。
協会けんぽの場合、2026年度(令和8年度)の上限は32万円です。
これは2025年9月30日時点の加入者の平均額318,100円をもとに決まっています。
つまり、月給が40万円でも60万円でも、保険料は32万円で計算されます。
給料が高かった人ほど、2倍にならずに済むわけです。
40歳を過ぎている人は、介護保険料も加わる
40歳から64歳の人には、2026年度(令和8年度)の介護保険料率1.62%(全国一律)が上乗せされます。
東京都なら、健康保険9.85%+子ども・子育て支援金0.23%+介護1.62%で合計11.70%です。
標準報酬月額32万円なら、月37,440円になります。
なお、この記事の試算はすべて40歳未満なので、介護分は入っていません。
家族を何人扶養に入れても保険料は同じ
もうひとつの武器がこれです。
配偶者や子どもを扶養に入れても、保険料は1円も増えません。
扶養に入れる収入の目安は、年収130万円未満です(60歳以上などは180万円未満)。
家族が多い人ほど、任意継続の価値が上がります。
ただし、在職中と同じ給付といっても例外があります。
任意継続では受けられない給付
- 任意継続の期間中に発生した病気やケガの傷病手当金
- 出産手当金(どちらも在職中から続けて受けている場合を除く)
申請できるのは「20日以内」だけ
任意継続には、厳しい期限があります。
退職日の翌日から20日以内に申請しなければなりません。
郵送の場合は、20日以内に必着です。
1日でも過ぎると、原則として任意継続は選べません(天災など、正当な事由があると認められた場合を除きます)。
そもそも日本の公的な保険がどう分かれているのかは、こちらで整理しています。
国民健康保険とは?前年の所得と「人数」で決まる
国民健康保険(国保)は、市区町村が運営する保険です。
会社の健康保険に入っていない人が加入します。
保険料は「所得割」と「均等割」の合計で決まります。
所得割=去年の所得に率をかける
所得割は、前年1月〜12月の所得をもとに計算します。
新宿区が公表している2026年度(令和8年度)の料率では、こうなります。
- 医療分 7.51%
- 後期高齢者支援金分 2.80%
- 子ども・子育て支援金分 0.27%
- 介護分 2.43%(40〜64歳のみ)
40歳未満なら合計10.58%です。
かける相手は「前年の所得から基礎控除43万円を引いた金額」です。
均等割=加入する人数ぶんかかる
均等割は、加入者1人ごとにかかる定額部分です。
東京23区の2026年度なら、1人あたりの金額はこうなります。
- 医療分 47,600円
- 後期高齢者支援金分 17,600円
- 子ども・子育て支援金分 1,873円(18歳以上)
- 介護分 17,800円(40〜64歳のみ)
40歳未満の大人1人なら、年67,073円です。
家族4人が国保に入れば、この均等割が4人分かかります。
ただし未就学児がいる世帯は、その子の均等割がさらに5割軽減されます。
2022年度から全国共通の制度で、申請の必要はありません。
ここが任意継続との決定的な違いです。
豆知識:子どもは「子育て支援金」を払う側にならない
子ども・子育て支援金分の均等割1,873円がかかるのは18歳以上だけです。18歳未満の子どもには、この分がかかりません。
2026年度から保険料の内訳が4つになった
2026年4月から、国保でも「子ども・子育て支援金」の徴収が始まりました。
これまで医療分・支援金分・介護分の3つだった内訳が、4つに増えています。
横浜市の案内によると、上限額も医療67万・支援26万・介護17万・子育て3万に引き上げられました。
4つを足すと、年間113万円が上限です。
ただし介護分は40〜64歳の人だけなので、40歳未満なら残る3つを合わせた96万円が上限になります。
会社員が入る協会けんぽでも、2026年4月から0.23%の支援金率が上乗せされています(在職中は労使折半)。
どちらを選んでも避けられない負担です。
この支援金は、2026年4月分から始まったばかりの制度です。
こども家庭庁は、2027年度(令和9年度)以降の支援金額の見込みも公表しています。
ただし2027年度以降の保険料率そのものは、2026年7月時点では公表されていません。
この支援金がいくらなのか、「独身税」と呼ばれた経緯は、こちらでまとめています。
【FP試算】東京23区で2年分を計算してみた
いちばん安かったのは、1年目だけ任意継続にして、2年目に国保へ移る方法でした。
単身なら、ずっと任意継続を続けた場合との差は約34万円です。
その理由を、条件をそろえて計算します。

試算の前提
- 東京23区在住・40歳未満
- 2026年3月末に退職し、その後は再就職しない
- 月給40万円(賞与を含めた年収は560万円)
- 退職時の標準報酬月額は、上限の32万円が適用される
単身の場合
まず、扶養する家族がいない人です。
| 選び方 | 1年目 | 2年目 |
|---|---|---|
| ずっと任意継続 | 約38.7万円 | 約38.7万円 |
| ずっと国民健康保険 | 約44.9万円 | 約4.6万円 |
| 1年目だけ任意継続→国保 | 約38.7万円 | 約4.6万円 |
2年の合計は、上から順に約77.4万円・約49.5万円・約43.3万円です。
1年目だけを見ると、任意継続が約6.2万円安く済みます。
ところが2年目は、国保が約34万円も安くなります。
退職して収入が減ったぶん、翌年度の保険料に反映されるからです。
さらに所得が下がると、均等割の軽減(今回は5割)も効いてきます。
世帯の所得が43万円+31万円×加入者数以下なら、均等割は5割軽減されます。
家族3人の場合
次に、妻と小学生の子ども1人を扶養している人です(妻子に収入なし)。
| 選び方 | 1年目 | 2年目 |
|---|---|---|
| ずっと任意継続 | 約38.7万円 | 約38.7万円 |
| ずっと国民健康保険 | 約58.1万円 | 約11.2万円 |
| 1年目だけ任意継続→国保 | 約38.7万円 | 約11.2万円 |
2年の合計は、上から順に約77.4万円・約69.3万円・約49.9万円です。
1年目の差が、単身のときより広がりました。
国保は3人分の均等割(約19.9万円)がまるごと乗るのに、任意継続は0円だからです。
わかったこと=1年目と2年目で答えが逆になる

2つの試算で、同じ現象が起きました。
1年目は任意継続が安く、2年目は国保が安い。
だから「1年目だけ任意継続」がいちばん安くなります。
単身なら「ずっと任意継続」より約34万円、家族3人なら約27万円の差です。
もちろん、これは東京23区・2026年度・特定の年収での概算にすぎません。
それでも、「2年で見ると答えが変わる」という構造は、どこに住んでいても同じです。
ちなみに退職直後は、住民税と健康保険料の支払いが重なります。
手元にいくら現金を残しておくべきかは、こちらで解説しています。
会社都合で辞めたなら、国保が一気に安くなる
ここまでの結論が、ひっくり返るケースがあります。
倒産・解雇・雇い止めなどで辞めた人は、国保に強力な軽減があります。
給与所得を「30%」として計算してくれる
非自発的失業者の軽減制度といいます。
渋谷区の説明では、対象者の前年の給与所得を30%にして保険料を計算します。
軽減される期間は、離職日の翌日から翌年度末までです。
対象かどうかは、雇用保険受給資格者証の離職理由コードで決まります。
11・12・21・22・31・32(特定受給資格者)と、23・33・34(特定理由離職者)が対象です。
さきほどと同じ条件で計算すると、1年目の国保はこうなります。
- 単身:約44.9万円 → 約15.0万円
- 家族3人:約58.1万円 → 約28.2万円
任意継続の約38.7万円と比べると、1年目から国保のほうが安くなりました。
つまり会社都合なら、まず国保を軸に考えるのが基本です。
なお、上の金額には均等割の軽減を含めていません。
自治体によっては、さらに均等割の軽減が加わり、もう少し安くなることがあります。
この30%の軽減は、離職日の翌日から翌年度末まで続きます。
だから2年目も対象です。
私は会社都合になったのに、この制度を知りませんでした
私も、退職したとき離職理由が会社都合になったことがあります。
ただ当時は、この軽減制度を知りませんでした。
そもそも健康保険に選択肢があること自体、知らなかったのです。
離職理由はハローワークで確認したのに、健康保険のほうは何も調べずに終わりました。
もっとも私はすぐ再就職したので、実際には軽減を使う場面がありませんでした。
ただ、次が決まっていなかったら、知らないまま損をしていたはずです。
今なら、離職票を受け取った瞬間に離職理由コードを確認します。
会社都合かどうかで、1年間の保険料が約30万円も変わるからです。
離職理由は、失業給付をいつから何日ぶん受け取れるかにも直結します。
「1年目は任意継続→2年目は国保」の乗り換え手順
試算でいちばん安かった方法の、具体的なやり方です。
2022年から、いつでもやめられるようになった
以前の任意継続は、原則2年間やめられませんでした。
保険料をわざと払わずに脱退する、という裏技が語られていたほどです。
裏を返せば、うっかり納付期限を過ぎただけでも資格を失います。
2022年1月からは、本人の申し出が正式な資格喪失の理由に加わりました。
協会けんぽに「任意継続被保険者資格喪失申出書」を出すだけです。
乗り換えのタイミング
やめる時期は、国保の保険料が下がるタイミングに合わせます。
国保の保険料は年度単位で、4月に新しい年度の計算に切り替わります。
3月末退職なら、翌々年の3月までが任意継続の2年間です。
その1年目が終わる3月の早いうちに手続きをすれば、きれいに乗り換えられます。
やめる日は自分では選べません
資格を失うのは、申し出た月の翌月1日です。さかのぼって過去の日付でやめることはできません。月末ギリギリに出すと、乗り換えが1か月ずれてしまいます。
やめたあとは、市区町村で国保の加入手続きをします。
このとき必要なのが、任意継続の資格喪失証明書です。
乗り換えないほうがいいケース
2年目も収入が大きく減らない人には、この方法は向きません。
独立してすぐ稼げた人や、家賃収入などがある人です。
国保は前年の所得で決まるので、所得が下がらなければ安くなりません。
面倒でも、2年目の3月に一度だけ市区町村で試算してもらうのが確実です。
退職時の健康保険でやりがちなNG3つ
最後に、実際に起きやすい失敗を3つ挙げます。
❌ 20日を過ぎてから、どっちが得か調べ始める
任意継続の申請期限は、退職日の翌日から20日以内です。
退職の慌ただしさで、あっという間に過ぎます。
⭕ 正解は、退職日が決まった時点で計算しておくことです。
❌ 切れ目なく転職したつもりで、国保の請求が届く
これは私の失敗です。
会社を辞めてすぐ次の会社に入ったので、健康保険は切れ目なしのつもりでした。
ところが、あとから国民健康保険の請求が1か月分だけ届きました。
なぜ1か月分だけ請求されるのか、当時はさっぱりわかりませんでした。
金額は覚えていませんが、「高いな」と思ったことだけは覚えています。
理由は、国保の保険料が月単位で計算されるからです。
国保では、加入した月から、やめた月の前月ぶんまで保険料がかかります。
たとえば3月20日に退職して4月1日に入社した場合、3月31日の時点では国保です。
すると、3月分として1か月分の国保料がかかります。
数日の空白でも、月をまたいだ時点で1か月分になるわけです。
⭕ 正解は、退職日と入社日の間が月をまたぐかどうかを先に確認することです。
同じ月のうちに次の会社に入れば、国保の保険料はかかりません。
なお、空白が1日でもあれば、国保の加入手続き自体は必要です。
私の「切れ目なし」は、どうやらどこかで切れていたようです。
❌ 家族の扶養に入れるのに、見落とす
退職後の選択肢は、任意継続と国保だけではありません。
配偶者や親が会社員なら、その健康保険の扶養に入る道があります。
この場合、追加の保険料は0円です。
退職後の年収見込みが130万円未満などの条件を満たせば検討できます。
失業給付を受けると収入とみなされる場合があるので、扶養に入れてもらう家族の勤務先に確認してください。
なお、どれを選んでも医療費が高くなったときの上限は同じ制度で守られます。
よくある質問
任意継続は途中でやめられますか?
やめられます。
2022年1月から、本人の申し出が資格喪失の理由として認められました。
協会けんぽに資格喪失申出書を提出すると、申し出た月の翌月1日にやめられます。
過去の日付にさかのぼってやめることはできません。
任意継続の20日を過ぎてしまったらどうなりますか?
任意継続は選べなくなります。
残る選択肢は、国民健康保険に入るか、家族の扶養に入るかの2つです。
国保の届出は、退職日の翌日から14日以内が原則です。
遅れても加入日はさかのぼるため、保険料の総額は変わりません。
ただし、手続きが済むまでは医療費をいったん全額払うことになります。
国民健康保険料は、先に計算してもらえますか?
できます。
市区町村の窓口や電話で、前年の所得を伝えれば試算してもらえます。
源泉徴収票か住民税の通知書を手元に用意すると早いです。
任意継続の保険料は協会けんぽの支部で確認できるので、両方そろえて比べます。
まとめ:まずは源泉徴収票と離職票を並べる
最後に、この記事の要点です。
- 判断材料は「離職理由・去年の年収・一緒に入る家族の人数」の3つ
- 任意継続は保険料が約2倍。ただし上限32万円で、扶養家族は何人でも無料
- 国保は前年の所得と加入人数で決まる。2026年度から内訳が4つに増えた
- 東京23区の試算では、1年目は任意継続、2年目は国保が安かった
- 会社都合の退職なら、1年目から国保が安い(給与所得を30%で計算)
- 2022年からは任意継続を途中でやめられるので、乗り換えが使える
今日できる最初の一歩は、源泉徴収票の「支払金額」を確認することです。
その金額と、家族の人数と、離職理由。
この3つがそろえば、市区町村の窓口で正確な試算をしてもらえます。
電話1本でも大丈夫です。
20日という期限は、思っているより早く来ます。
退職と前後して出産を控えている方は、こちらもあわせてどうぞ。
※試算は東京23区の2026年度(令和8年度)の料率をもとにした概算です。保険料は市区町村や加入する健康保険組合によって異なります。実際の金額は必ずお住まいの窓口でご確認ください。
執筆:よ~ちゃん(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)|最終更新:2026年7月22日







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