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防衛特別所得税いくら?年収400万で年560円【2027年開始】

防衛特別所得税はいくらかを解説する記事のアイキャッチ画像。年収400万円で年560円、2027年1月開始でも手取りは減らないこと、本当の負担は復興税が10年延長される2038年からであることを示している お金の知識
みー
みー

所得税に1%上乗せだって!年収400万円なら4万円も取られちゃう…😨

4万円は取られません。

年収400万円の会社員なら、年560円ほどです。

月に直すと47円。

缶コーヒー1本にも届きません。

しかも2027年1月、この改正が理由であなたの手取りが減ることはありません。

申し遅れました。

こんにちは、FPのよ~ちゃんです。

このニュースを最初に聞いたとき、私は「増えても数百円くらいかな」と当たりをつけました。

実際に計算してみたら560円。

……FPとして、かろうじて面目は保てました。

この記事でわかること
  • 防衛特別所得税の「1%」は、何に対する1%なのか
  • 年収300万〜1,000万円の年収別・早見表(FP試算)
  • 2027年に手取りが減らない理由と、その検算
  • 本当の負担が始まる2038年に何が起きるか
  • 会社員が今日やっておくこと(1つだけ)

読み終えるころには、「増税」の見出しに身構えずに、自分の年収の数字で判断できるようになります。

防衛特別所得税とは?1%の「分母」は所得税額

防衛特別所得税とは、防衛力の強化に必要な財源を確保するために、所得税額に1%を上乗せして納める国税です。

大事なのは「1%」が何に掛かるか。

かかる相手は年収ではなく、あなたが納めている所得税の金額です。

防衛特別所得税の1%が何に掛かるかを示す図。年収400万円から給与所得控除と各種控除を引いた所得税56,050円の1%である560円が防衛特別所得税になることを示している

財務省の令和8年度税制改正の大綱には、こう書かれています。

「防衛特別所得税額は、その年分の基準所得税額に1%の税率を乗じて計算した金額とする」

基準所得税額とは、ざっくり言えば各種の控除を引いたあとに確定した所得税の額のことです。

年収400万円なら年560円。年収の1%ではない

年収400万円の会社員で、順番に追ってみます。

まず年収400万円から給与所得控除124万円を引くと、給与所得は276万円になります。

給与所得控除とは、会社員にとっての「みなし経費」のようなものです。

そこから社会保険料が約60万円と、基礎控除104万円を引きます。

基礎控除は、収入のある人なら誰でも引ける控除のことです。

ただし金額は所得によって変わり、この年収400万円の人の場合は104万円になります。

残った112万1千円が、税金のかかる部分=課税所得になります。

ここに税率5%をかけて、所得税は56,050円です。

この56,050円の1%が、防衛特別所得税になります。

計算式:年収400万円の場合

所得税 56,050円 × 1% = 560円

年収400万円 × 1% = 4万円 ではありません

つまり「年収の1%」と「所得税額の1%」では、71倍もの開きがあります。

1%という数字だけが独り歩きすると、実際の70倍以上の金額を思い浮かべてしまうということです。

なぜ「所得の1%」と勘違いしてしまうのか

理由は単純で、給与明細に所得税額を意識する機会が少ないからだと思います。

私が新社会人だったころ、額面20万円の初任給が手取り16万円台になっていて驚きました。

引かれた約3.2万円の内訳を見たら、大半は社会保険料でした。

所得税そのものは、思っていたよりずっと小さかったのです。

税金は「取られている感覚」のわりに、内訳を知らないまま過ぎていきます。

いつから?2027年1月1日以後の所得から

適用は令和9年(2027年)分以後の所得税からです。

給与を受け取る側でいえば、2027年1月1日以後に支払われる給与からの反映です。

そして大綱には、期間についてこう書かれています。

「防衛特別所得税の課税期間は令和9年以後の当分の間とする」

「当分の間」という言葉は、あとでもう一度出てきます。

ここが、この記事でいちばん引っかかってほしいところです。

年収別に試算|300万〜1000万でいくら増える?

先に答えを言うと、年収300万円で年261円、1,000万円でも年8,053円です。

年収別に計算した早見表を作りました。

同じ条件でそろえて計算しているので、自分に近い行を見てください。

年収所得税防衛特別所得税(1%)
300万円26,100円261円
400万円56,050円560円
500万円89,800円898円
600万円146,300円1,463円
800万円425,500円4,255円
1,000万円805,300円8,053円

一番負担が重い年収1,000万円の行でも、年8千円台。

「増税」という言葉から想像する金額とは、だいぶ違うのではないでしょうか。

年収が上がるほど、負担は重くなる

表を縦に見ると、年収400万円と800万円で防衛特別所得税は7.6倍の差がつきます。

年収は2倍しか違わないのに、です。

所得税そのものが累進課税、つまり所得が多い人ほど税率が高くなる仕組みだからです。

その所得税に1%を掛けるので、差はそのまま引き継がれます。

裏を返せば、控除が増えて所得税額が下がると、防衛特別所得税も自動的に下がります。

たとえば私は2026年に医療費控除の確定申告をして、28,000円が還付されました。

こうして所得税額が減れば、その1%である防衛特別所得税も連動して減る計算になります。

基礎控除が変わると、この税金も変わる

2026年からは基礎控除が引き上げられ、合計所得489万円以下の人は104万円になりました。

合計所得とは、収入から必要経費(会社員なら給与所得控除)を引いたあとの金額のことです。

給与だけの会社員なら、年収400万円で276万円、年収650万円でも476万円になります。

つまり年収489万円の人が対象外になる、という意味ではありません。

この引き上げも、所得税額を押し下げる方向に働きます。

ただし104万円という金額は、令和8年・9年分(2026年・2027年分)だけのものです。

令和10年(2028年)分からは、上乗せの対象が合計所得132万円以下の人にしぼられ、金額も37万円になる予定です。

年収400万円の人は上乗せがなくなり、基礎控除は62万円だけになります。

そのぶん所得税は、いまより2万円ほど上がる計算です。

※令和10年分の扱いは、今後の改正で変わる可能性があります。

試算の前提(ここを変えると金額も変わります)

数字の出どころは、次のとおりです。

  • 東京都・協会けんぽ加入の会社員、40歳未満(介護保険料なし)
  • 独身・扶養家族なし・賞与なし(年収を12等分)
  • 令和9年分の控除額(給与所得控除は国税庁No.1410)
  • 基礎控除は年収で3段階(〜665万円は104万円/〜850万円は67万円/850万円超は62万円)
  • そのため早見表は、800万円の行を67万円、1,000万円の行を62万円で計算しています
  • 所得税の税率は、現行の速算表(国税庁No.2260)をそのまま使用
  • 社会保険料は協会けんぽ令和8年度・東京都の料率(令和9年度分は未公表のため)

扶養家族がいる方や、生命保険料控除・iDeCoなどを使っている方は、所得税額がこれより下がります。

その分、防衛特別所得税も下がります。

※あくまで概算です。正確な金額はお勤め先の源泉徴収票や、税務署でご確認ください。

それでも2027年の手取りが減らない理由

ここが、この制度のいちばん分かりにくいところです。

新しい税金ができるのに、2027年1月の手取りは変わりません。

理由は、別の税金が同じだけ下がるからです。

復興特別所得税が2.1%から1.1%へ下がる

いま私たちは、所得税に2.1%を上乗せした復興特別所得税を納めています。

東日本大震災の復興財源として、2013年から続いているものです。

これが2027年から1.1%に下がります。

下がる幅はちょうど1%。

そこに防衛特別所得税の1%が入るので、上乗せ分の合計は2.1%のまま動きません。

合計2.1%は据え置き。全年収で差は0円だった

本当に差が出ないのか、先ほどの6つの年収すべてで検算しました。

年収防衛1%+新・復興1.1%現行の復興2.1%
300万円548円548円
400万円1,177円1,177円
500万円1,886円1,886円
600万円3,072円3,072円
800万円8,936円8,936円
1,000万円16,911円16,911円

左右の列が、どの年収でもぴったり同じ。

差はきれいに0円でした。

給与計算の実務でも同じです。

国税庁が2026年5月に公表したQ&Aによると、合計税率は「所得税率×102.1%」のまま。

合計税率とは、所得税と上乗せ分をまとめて天引きするときに使う率のことです。

納付書も、これまでどおり1枚です。

新しい税金がひとつ生まれるのに、給与明細の数字も、会社の事務も、何ひとつ変わりません。

正直、かなり地味です。

株や投資信託の20.315%も変わらない

みー
みー

株の税金も上がっちゃうの?売っておいたほうがいい?😰

上がりません。

課税口座で株や投資信託を売って利益が出たときの税率は、20.315%のままです。

内訳が入れ替わるだけで、合計は1円も動きません。

なお、NISA口座での利益はもともと非課税なので、今回の話とは無関係です。

私自身は昔は特定口座で取引していましたが、今はNISAだけを使っています。

特定口座とは、税金の計算を証券会社がやってくれる口座のことです。

豆知識:20.315%の「0.315%」って何?

所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%の合計です。この0.315%は、15%に復興分の2.1%を掛けた数字。

2027年からは防衛0.15%+復興0.165%に分かれますが、足せばやはり0.315%です。

投資の税金そのものを整理したい方は、こちらもどうぞ。

本当の負担は2038年から|10年延長が意味すること

ここからは、笑い事ではない話をします。

手取りが変わらないのは、負担が消えたからではありません。

後ろにずらされたからです。

復興特別所得税の期限が2037年から2047年へ

復興特別所得税は、もともと期限が決まっていました。

大綱の記述はこうです。

「復興特別所得税の課税期間を令和29年まで(現行:令和19年まで)の間とする」

令和19年は2037年、令和29年は2047年。

つまり10年、後ろに延びます。

税率を1%下げたぶん、集まるお金が減ります。

その減った分を、期間を10年のばして埋める設計です。

復興特別所得税と防衛特別所得税の課税期間を改正前後で比較した帯グラフ。改正前は2037年で終わるはずだった上乗せが2047年まで10年延長され、2038年から2047年が実質の負担増になること、2048年以降も防衛特別所得税1%が終了年の定めなく続くことを示している

年収400万円なら、延長された10年で約1.2万円

改正がなければ、2038年からは上乗せ分がゼロになるはずでした。

でも実際には、2038年から2047年まで2.1%の上乗せが続きます。

年収400万円なら年1,177円なので、10年で約1.2万円。

年収600万円なら年3,072円で、10年で約3.1万円になります。

いまの年収と、いまの税制がそのまま続いた場合の目安です。

ここが本当の負担増です

2027年〜2037年 … 合計2.1%(変化なし)
2038年〜2047年 … 合計2.1%(改正がなければ0%だった期間)
2048年〜 … 防衛特別所得税1%が残る

防衛特別所得税には「終わり」が書かれていない

もう一度、大綱の言葉に戻ります。

防衛特別所得税の課税期間は「令和9年以後の当分の間」。

復興特別所得税には2047年という期限がありますが、防衛特別所得税に終了年は書かれていません。

2048年以降も、所得税額の1%は続く見通しです。

私は2013年に復興特別所得税が始まったころ、正直なところ税金の種類なんて分かっていませんでした。

同じことが、これから始まる税金でも起きるかもしれません。

なお、政府は「東日本大震災からの復旧・復興に要する財源については、引き続き責任を持って確保する」と大綱に明記しています。

会社員がやることは?結論、ほぼ何もない

手続きは必要ありません。

給与から天引きされるので、勤務先が処理してくれます。

確定申告をする方も、申告書に新しい欄が増える見込みですが、計算の考え方はこれまでどおりです。

源泉徴収票の「源泉徴収税額」を一度見ておく

やっておくといいことが、ひとつだけあります。

源泉徴収票の「源泉徴収税額」という欄を見ることです。

ここに書かれている金額が、防衛特別所得税の「分母」になります。

その1%が、2027年から上乗せされる金額の目安です。

※この欄は復興特別所得税を含んだ金額なので、1%を掛けた額は実際よりごくわずかに多めに出ます。

私もこの欄を見たことはありますが、1%の分母だと意識したことはありませんでした。

自分の数字で確かめると、ニュースの見出しに振り回されにくくなります。

法人税とたばこ税は、もう始まっている

防衛費の財源として決まったのは、所得税だけではありません。

法人税とたばこ税は、個人の所得税より先にスタートしています。

防衛特別法人税は、2026年4月1日以後に始まる事業年度からです。

たばこ税も、加熱式たばこの引き上げが2026年から段階的に進んでいます。

所得税は3つのなかで、いちばん最後に来た、という位置づけです。

よくある質問

防衛特別所得税は、いつから給与から引かれますか?

2027年(令和9年)1月1日以後に支払われる給与からです。

ただし源泉徴収の合計税率は「所得税率×102.1%」のまま変わらないため、天引きされる金額そのものは変わりません。

復興特別所得税が1%下がって、その枠に防衛特別所得税が入る形になるからです。

明細の見た目も、これまでと同じです。

年金からも引かれますか?

引かれます。

公的年金等も源泉徴収の対象なので、防衛特別所得税の対象になります。

ただし、こちらも合計税率が102.1%のままなので、現在の源泉徴収率5.105%は変わりません。

国税庁のQ&Aでも、所得税率5%に対応する合計税率は5.105%と示されています。

住民税も上がりますか?

上がりません。

防衛特別所得税は、所得税に上乗せされる国税です。

住民税は地方税なので、この制度の対象外になります。

防衛費の財源として決まったのは、所得税・法人税・たばこ税の3つです。

まとめ:2027年は動かない。動くのは2038年

要点を整理します。

  • 防衛特別所得税は「所得税額の1%」。年収の1%ではない
  • 年収400万円で年560円、600万円で年1,463円、1,000万円でも年8,053円
  • 復興特別所得税が2.1%→1.1%に下がるので、上乗せ分の合計2.1%は据え置き。全年収で差は0円
  • 株や投資信託の20.315%も、年金の5.105%も変わらない
  • 本当の負担は2038年から。復興特別所得税の期限が2037年→2047年へ10年延長された
  • 防衛特別所得税には終了年が書かれていない(「当分の間」)
  • 手続きは不要。会社員がやることはない

今日できる最初の一歩は、手元の源泉徴収票を開いて「源泉徴収税額」の欄を見ることです。

そこに書かれた金額の1%が、2027年からあなたに乗る金額になります。

だいたい、思っていたより小さい数字のはずです。

※本記事は2026年8月4日時点の情報にもとづく内容です。試算は概算で、実際の税額は控除の内容により異なります。正確な金額は源泉徴収票または税務署でご確認ください。

執筆:よ~ちゃん(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/最終更新日:2026年8月4日

参考資料

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