
誕生日にハガキが届いたけど、数字が多すぎて何を見ればいいの?😥
見るところは、3か所だけです。
先に結論をお伝えします。
ねんきん定期便で確認すべきは、次の3つだけです。
①今までの実績で計算した年金額、②これまでに払った保険料の総額、③国民年金の納付状況に空白がないか。
残りの欄は、この3つを補足するための情報です。
申し遅れました。
こんにちは、FPのよ~ちゃんです。
このハガキを見た人の感想でよく聞くのは「思ったより少ない」ですが、私は逆でした。
正直に言うと「思っていたより多いな」というのが最初の印象です。
- ねんきん定期便で見るべき3か所
- 50歳未満と50歳以上で、金額の意味がまったく違うこと
- 年収別「将来もらえる年金」の早見表(FP試算)
- 加入の空白が、将来いくらの差になるか
- 繰下げの損益分岐点は何歳か
読み終えるころには、あのハガキが「よくわからない紙」から「自分の老後の設計図」に変わります。
ねんきん定期便で見るべきは、たった3か所
ねんきん定期便とは、公的年金に加入している人へ毎年、誕生月に届くお知らせです。
日本年金機構が、加入記録と年金額を通知するために送っています。
35歳・45歳・59歳の節目の年だけは、ハガキではなく封書で、より詳しい記録が届きます。

①「これまでの加入実績に応じた年金額」
ハガキの右側にある、いちばん大きな数字です。
ここは「今まで納めた分だけで計算した年金額」であって、将来もらえる見込額ではありません。
まだ働く年数が残っている人なら、この数字はこれからも増えていく途中です。
すぐ隣に「昨年」の金額も並んでいます。
1年でどれだけ増えたかを見れば、自分の年金の伸びるペースがわかります。
②「これまでの保険料納付額」
自分がこれまでに払った保険料の累計です。
会社員の場合、ここに表示されるのは自分が負担した分だけです。
厚生年金保険料は会社と折半なので、実際にはこの倍の額が納められています。

じゃあ、払った額より少ししかもらえないってこと?😨
そうとも限りません。
公的年金は生きているかぎり受け取れるので、長生きするほど受取総額は増えていきます。
③ 国民年金の納付状況に「未納」「未加入」がないか
ここがいちばん大事なのに、いちばん見られていない欄です。
月ごとに、次のような表示が並んでいます。
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| 納付済 | 保険料を納めた月 |
| 未納 | 納めていない月(年金額に反映されない) |
| 未加入 | どの年金制度にも加入していなかった月 |
| 3号 | 配偶者の扶養に入っていた月 |
| 学特・猶予 | 学生納付特例や納付猶予を受けた月 |
「未納」と「未加入」があると、そのぶん将来の年金が減ります。
「学特」や「猶予」も、あとから追納していなければ年金額には反映されません。
豆知識:受け取るのに必要な期間は、25年から10年に短くなった
年金を受け取るには、加入期間が通算10年必要です。この10年には、保険料を納めた期間だけでなく、免除された期間や合算対象期間も含まれます。かつては25年必要でしたが、2017年8月から10年に短縮されました。
年金は、日本の公的保険のひとつです。
医療や失業も含めた全体像は、こちらで整理しています。
【最重要】50歳未満と50歳以上で、金額の意味が真逆
同じ「ねんきん定期便」でも、50歳を境に、書いてある年金額の意味が変わります。
ここを知らないと、判断を大きく間違えます。
50歳未満は「今まで積み上げた分」だけ
50歳未満の人に届くハガキの年金額は、作成時点の加入実績で計算した金額です。
30代なら、まだ加入年数が20年に満たない人がほとんどです。
だから金額は小さくなります。
これから増えていく数字なので、落ち込む必要はありません。
30代のうちは、この欄が小さいのが正常です。
50歳以上は「このまま60歳まで働いた場合の見込額」
50歳以上になると、記載が変わります。
いまの加入条件が60歳まで続くと仮定して計算した、将来の見込額が載ります。
つまり、50歳以上のハガキの数字は「だいたいこれくらいもらえる」という予測です。
同じ位置に同じような数字が並んでいても、意味は正反対です。
「多い」も「少ない」も、比べる相手を間違えている
冒頭で書いたとおり、私の第一印象は「思っていたより多いな」でした。
いっぽうで「少なすぎる」と感じる人もいます。
この差は、そのまま年齢と加入年数の差です。
大事なのは、その金額が①今までの実績なのか、②将来の見込みなのかを先に確かめることです。
そこを取り違えたまま老後の計画を立てると、数百万円単位でズレます。
【FP試算】年収別に、将来いくらもらえるか計算した
先に答えです。
会社員が40年働いた場合、年収400万円なら月およそ14万円、年収600万円なら月およそ18万円が目安になります。
計算式は「基礎年金+報酬比例」の足し算
公的年金は、2階建てです。
- 1階(老齢基礎年金):40年すべて納めると年額847,300円(月70,608円)
- 2階(老齢厚生年金):平均標準報酬額 × 5.481 ÷ 1000 × 加入月数
どちらも2026年度(令和8年度)の数字です。
年金額は毎年度改定されます。
2026年度は基礎年金が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%の引き上げでした。
平均標準報酬額とは、ボーナスも含めた月あたりの平均給与のことだと思ってください。
年収別の早見表
日本年金機構の計算式どおりに、私が1件ずつ計算した表です。
40年(480か月)加入し、いまの年収がずっと続いたと仮定しています。
| 年収 | 65歳からの年額 | 月あたり |
|---|---|---|
| 300万円 | 約150.5万円 | 約12.5万円 |
| 400万円 | 約172.4万円 | 約14.4万円 |
| 500万円 | 約194.4万円 | 約16.2万円 |
| 600万円 | 約216.3万円 | 約18.0万円 |
年収が2倍になっても、年金は2倍にはなりません。
1階の基礎年金は、年収に関係なく全員同じだからです。

この表を鵜呑みにしてはいけない理由
正直に、限界も書いておきます。
実際の計算に使う平均標準報酬額は、過去の給与を現在の価値に直したうえで平均した金額です。
新人時代の低い給与も、40年分の平均に入る形です。
つまり現役最後の年収で計算した上の表は、やや多めに出ます。
転職や休職で加入が途切れた人は、さらに下がります。
正確な金額は、必ずご自身のねんきん定期便で確認してください。
なお、この表は年金だけの金額です。
老後の生活は、これに貯蓄を足して考えることになります。
早見表に入っていない「配偶者がいると年42万円」の加算
早見表には入っていない上乗せがあります。
厚生年金の加入期間が20年以上ある人が65歳になったとき、生計を維持している65歳未満の配偶者がいると加算がつきます。
これが加給年金額です。
ここでいう「生計を維持している」には、2つの条件があります。
- 生計を同じくしていること(別居でも仕送りなどがあれば認められます)
- 配偶者の前年の収入が850万円未満、または所得が655万5千円未満であること
日本年金機構の老齢年金ガイドによると、2026年度(令和8年度)の基本額は配偶者1人につき年243,800円です。
これに、年金を受け取る本人(配偶者ではありません)の生年月日に応じた特別加算がつきます。
昭和18年4月2日以後に生まれた人なら、179,900円が上乗せされます。
いまの現役世代は、すべてこれに当てはまる年代です。
つまり合計で年423,700円です。
月に直すと約3万5千円が、配偶者が65歳になるまで加算されます。
18歳年度末までの子どもがいれば、1人目と2人目は各243,800円、3人目以降は各81,300円です。
こちらには特別加算がありません。
ただし、この加算がずっと続くとはかぎりません。
配偶者が、厚生年金20年以上の老齢厚生年金や障害年金を受け取る権利を得ると、この加算は止まります。
2022年4月からは、配偶者が働いていてその年金が全額止まっている場合でも、権利さえあれば加算は止まります。
ここで大事なのは「加入が20年あるかどうか」ではなく「受け取る権利が発生しているかどうか」です。
いまの現役世代は、原則65歳になるまで老齢厚生年金の権利が生まれません。
そして加給年金は、もともと配偶者が65歳になるまでの加算です。
つまり共働きでも、受け取れるケースはあります。
わが家の場合、妻は別の会社で厚生年金に加入中です。
受け取れるかどうかは、妻がいつ自分の年金を受けられる状態になるかで決まります。
ここは私自身もまだ確認できていないところです。
加入の「空白」は、将来いくら効くのか
先に答えです。
厚生年金の空白が2年あると、生涯でおよそ53万円の差になる計算でした。
ここからは、私自身の話です。
新卒からの2年間、会社が社会保険に入れてくれなかった
社会人になってすぐの2年ほど、勤めていた会社は社会保険の手続きに消極的でした。
厚生年金にも健康保険にも、入れてもらえないままでした。
そのあいだ、国民年金は自分で納めていました。
だから記録に「未納」は残っていません。
ただし、その2年間に厚生年金の上乗せはゼロです。
【試算】厚生年金の2年間は、生涯でいくらの差か
FPとして、この差を計算してみます。
新卒当時の標準報酬月額を20万円と仮定します。
- 200,000円 × 5.481 ÷ 1000 × 24か月 = 年26,309円
年に約2万6千円。
一見すると小さな数字です。
ですが年金は生きているかぎり受け取れます。
65歳男性の平均余命は19.68年なので、20年受け取ると仮定して計算します。
- 26,309円 × 20年 = 約53万円
たった2年の空白が、生涯で50万円以上の差になる計算です。
「未納」はさらに重い
- 私の場合は国民年金を自分で納めたので、1階部分は守られました
- もし未納のままだったら、1階の基礎年金も2年分(年約4万2千円)減っていました
- 保険料の納付が難しいときは、未納で放置せず免除や猶予の手続きを
過去の未納は、あとから納められることがある
未納が見つかっても、あきらめる必要はありません。
保険料には2年の納付期限がありますが、免除や猶予を受けた期間は10年前までさかのぼって追納できます。
学生納付特例を使った人も同じです。
追納すれば、その分だけ将来の年金が増えます。
まずはハガキの③の欄を見て、空白がないか確かめるところからです。
なお、厚生年金に入れる範囲は、これから広がっていきます。
2025年6月に成立した年金制度改正法で、短時間で働く人の企業規模の要件が10年かけて段階的になくなる予定です。
将来的には、週20時間以上働けば勤め先の規模に関係なく加入できる見込みです。
繰下げると増える。ただし「得」とは限らない
年金は受け取り始める時期をずらせます。
遅らせることを「繰下げ受給」といいます。
70歳まで待つと42%増、75歳なら84%増
繰下げは66歳から75歳の間で選べます。
1か月遅らせるごとに0.7%増え、その増額率は一生変わりません。
- 70歳から受け取る → 42%増
- 75歳から受け取る → 84%増
逆に早める「繰上げ受給」もあります。
こちらは1か月あたり0.4%減で、60歳まで早めると24%減ったままになります。
なお、0.4%が適用されるのは昭和37年4月2日以降に生まれた人です。
それより前に生まれた人は1か月0.5%減、最大30%減になります。
【試算】損益分岐点は、70歳繰下げで約82歳
増えるのは魅力的ですが、待っている間は1円ももらえません。
受取総額で追いつくのが何歳かを計算してみます。
- 65歳開始と70歳開始が並ぶのは、約82歳
- 65歳開始と75歳開始が並ぶのは、約87歳
82歳より長生きすれば、70歳まで待ったほうが総額は多くなります。
厚生労働省の令和7年簡易生命表では、65歳の平均余命は男性19.68年、女性24.52年です。
つまり平均的には、繰下げたほうが総額は増える計算になります。
ただし平均余命はあくまで平均で、半数の人はこれより早く亡くなります。
それでも、私が手放しですすめない理由
ここからは、反対の側面です。
年金が増えると、税金と社会保険料も増えます。
年金は雑所得として課税され、国民健康保険料や介護保険料の計算にも使われます。
手取りベースで見れば、損益分岐点はさきほどの年齢よりさらに後ろです。
もうひとつ、老齢厚生年金を繰り下げている間は、さきほどの加給年金も受け取れません。
月約3万5千円が入らないまま、しかも増額の対象にもなりません。
年下の配偶者がいる人ほど、ここは慎重に考える必要があります。
そして何より、待っている間の生活費を自分で用意できることが前提です。
繰下げは「増やす制度」であると同時に、「その間を自力で食いつなぐ制度」でもあります。
そして繰下げを選べるかどうかは、そのとき健康で働けているかにも左右されます。
健康と老後のお金の関係は、こちらでくわしく書きました。
よくある質問
ねんきん定期便が届かないのですが、なぜですか?
多いのは、登録されている住所が古いままになっているケースです。
まず確認したいのは、マイナンバーと基礎年金番号が結びついているかどうかです。
結びついていれば、引っ越しても住所変更の届け出は原則いりません。
結びついていない人や、海外に住んでいる人は届け出が必要です。
結びつきの状況は、ねんきんネットや年金事務所で確認できます。
なお、ねんきんネットで「ハガキの郵送停止」を登録している人にも届きません。
ハガキの年金額に、退職金や企業年金は入っていますか?
入っていません。
ねんきん定期便に載るのは、国民年金と厚生年金という公的年金だけです。
企業年金(確定給付企業年金や企業型DC)やiDeCoは、別に案内が届きます。
老後のお金を計算するときは、この2つを足して考えてください。
ねんきんネットは登録したほうがいいですか?
したほうがいいです、と言いたいところですが、正直に告白します。

FPなのに、私はまだ登録していません😅
ハガキが毎年届くので、それで済ませてしまっているのが実情です。
ちなみに登録に使う17桁の「アクセスキー」は、ねんきん定期便に印字されています。
有効期限はハガキの到着後3か月なので、登録するなら届いたときが最短です。
ねんきんネットなら、働き方や受給開始年齢を変えたときの年金額をその場で試算できます。
年に1回のハガキで足りている人はそれでもかまいませんが、老後の計画を本気で立てるなら、登録したほうが早いです。
まとめ:ハガキは「今の通知表」ではなく「設計図」
最後に、この記事の要点を整理します。
- 見るべきは3か所。年金額・保険料の納付額・納付状況の空白
- 50歳未満は「今までの実績」、50歳以上は「将来の見込額」。意味が真逆
- 40年働いた場合の目安は、年収400万円で月約14万円、600万円で月約18万円
- 年収が上がっても年金は比例して増えない(1階は全員同じ)
- 加入の空白2年で、生涯約53万円の差がつくこともある
- 厚生年金に20年以上加入していれば、65歳未満の配偶者がいる間は年42万円の加給年金が上乗せされる
- 繰下げは70歳で42%増。ただし損益分岐は約82歳で、税と社会保険料も増える
今日できる最初の一歩は、いちばん新しいねんきん定期便を探し出して、③の納付状況の欄だけを見ることです。
「未納」「未加入」の2文字がないかを、目で追ってください。
金額の欄は、あとからでも間に合います。
でも空白は、放っておくと追納できる期限が過ぎてしまいかねません。
病気やケガで働けなくなったときのお金は、こちらで解説しています。
※試算は2026年度(令和8年度)の年金額と乗率をもとにした概算です。実際の年金額は加入記録によって異なります。正確な金額はねんきん定期便、ねんきんネット、または年金事務所でご確認ください。
執筆:よ~ちゃん(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/最終更新日:2026年7月26日
参考資料
- 日本年金機構「老齢年金ガイド 令和8年度版」
- 日本年金機構「ねんきん定期便の様式(サンプル)と見方ガイド(令和8年度送付分)」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「ねんきん定期便関係」
- 日本年金機構「『ねんきんネット』による電子版『ねんきん定期便』」
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 日本年金機構「年金用語集:生計維持」
- 日本年金機構「年金に加入している方が引越したときの手続き」
- 日本年金機構「『アクセスキー』とは何ですか。」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
- 厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」






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