
リスクって、要するに「損する」ってことでしょ?😥 こわいからリスクゼロがいいなあ
その理解のままだと、投資の話は一生こわいままです。
投資でいう「リスク」は「危険」という意味ではありません。
値動きのブレ幅、つまり「上にも下にも、どれくらい振れるか」を指します。
申し遅れました。
こんにちは、よ~ちゃんです。
FPとして数字は読めるほうですが、暴落で含み損30万円をかかえ、耐えきれずに売った張本人でもあります。
- 投資のリスクの正体(危険ではなく「ブレ幅」)
- ブレを生む5種類のリスク
- 100万円が1年でいくらまで振れるかのFP自作試算
- 自分のリスク許容度を「金額」で決める方法
読み終えるころには、「自分はいくらまで減っても平気か」を数字で言えるようになります。
※この記事はシリーズ『ゼロから学ぶ資産運用』のSTEP②です。STEP①では、投資の前に貯めておく生活防衛資金を扱いました。
投資のリスクとは「危険」ではなく「ブレ幅」のこと
先に答えをお伝えします。
投資のリスクとは、リターンのブレの大きさのことです。
年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、同じ説明をしています。
リスクとは「リターンのブレの大きさ」のこと。
そのうえで、日本語の「危険」とは意味が違うと明記しています。
「危険」と訳すと、意味が通らなくなる
「リスクを取る」という言い方を聞いたことはありませんか。
危険という意味だとすると、「危険を取る」になります。
それはもう投資家ではなく、ただの無謀な人です。
ブレ幅という意味だとわかると、すっと通ります。
ブレ幅が大きい商品は、大きく増えることも、大きく減ることもある。
ブレ幅が小さい商品は、どちらにもあまり動かない。
リスクとリターンが表裏一体と言われるのは、これが理由です。
ブレ幅は、実は数字で決まっている

ブレ幅は「なんとなく大きい」で終わらせず、数字で示せます。
GPIFは2025年4月から、新しい基本ポートフォリオを適用しています。
それを決めるときの前提値では、日本株式は期待リターン4.8%・ブレ幅(標準偏差)約19%とされました。
これは過去の実績ではありません。
複数の経済シナリオのうちの1つ(過去30年投影ケース)にもとづく、将来の見通しの数字です。
ここで統計のきまりがひとつ登場します。
1年の結果は、約68%の確率で「4.8%±19%」の範囲に収まります。
計算すると、マイナス14.2%からプラス23.8%の間です。
さらに約95%の確率で「4.8%±38%」、つまりマイナス33.2%からプラス42.8%に収まります。

ということは…たまに3割以上へこむ年もあるってこと?😨
そういうことです。
大事なのは、それが「異常事態」ではないという点です。
最初から想定されている範囲の中の出来事にすぎません。
投資の5つのリスク|ブレを生む正体
ブレを生む原因は、三菱UFJ銀行の整理では大きく5つに分けられます。
| リスクの種類 | どんなブレが起きるか | 主に関係する商品 |
|---|---|---|
| 価格変動リスク(株価変動リスク) | 業績や景気で値段が上下する | 株式・投資信託 |
| 為替変動リスク | 円高・円安で円換算の価値が変わる | 外国株・外貨建て商品 |
| 金利変動リスク | 金利が上がると債券の値段が下がる | 債券 |
| 信用リスク | 発行体が破綻して返ってこない | 債券・社債 |
| 流動性リスク | 売りたいときに売れない | 不動産・取引の少ない株 |
初心者が実際に食らうのは、このうち2つ
5種類を丸暗記する必要はありません。
投資を始めたばかりの人が実際にぶつかるのは、価格変動リスクと為替変動リスクの2つだからです。
私は今、新NISAで全世界株式(オルカン)を月3万円ずつ積み立てています。
世界中の株に分散されている商品ですが、為替リスクからは逃げられません。
株価がまったく動かなくても、円高が進めば円での評価額は減ります。
「世界に分散したから安心」ではなく、「為替のブレは残っている」と知るほうが、下がった日に慌てずにすみます。
【FP自作試算】あなたのお金は1年でいくら振れる?
先に結論をお伝えします。
500万円を投資したなら、1年で166万円ほど減る年もありえます。

パーセントのままだと、リスクはずっと他人事のままです。
金額に直したとたん、自分の話になります。
先ほどのGPIFの数値(期待リターン4.8%・ブレ幅19%)を使って計算しました。
| 投資した金額 | よくある範囲(約68%) | 大きく振れた年の範囲(約95%) |
|---|---|---|
| 100万円 | 85.8万〜123.8万円 | 66.8万〜142.8万円 |
| 300万円 | 257.4万〜371.4万円 | 200.4万〜428.4万円 |
| 500万円 | 429万〜619万円 | 334万〜714万円 |
※日本株式のデータをもとにした1年間の概算です。将来の運用成果を保証するものではありません。
注目してほしいのは、表の右下です。
500万円が334万円になる年は、計算上40回に1回ほど起こります。
166万円。
軽自動車が1台買える金額が、1年で消えることになります。
しかも現実の相場は、この計算よりも大きく振れる場面があります。
この数字を見て、どう感じたでしょうか。
その感覚こそが、あなたのリスク許容度です。
「まあ、そういうものか」と思えたなら、その金額は許容範囲に入っています。
「それは無理」と感じたなら、投資額が多すぎるサインです。
その場合は投資額を減らすか、現金の備えを厚くするほうが先になります。
ちなみに、この「ブレを引き受ける」考え方は、私たちの年金でも同じです。
💡 お金の豆知識:あなたの年金も、同じブレを引き受けている
GPIFは年金積立金を、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式に25%ずつ配分して運用しています(2025年4月から適用)。
なお、この試算は「1年間」の話です。
保有期間が長くなるほどブレは平らになっていく傾向があります。
そこはシリーズのSTEP④「長期・積立・分散」でくわしく扱います。
リスク許容度とは?限度を決める4つの要素
リスク許容度とは、損失をどこまで受け入れられるかの限度のことです。
財務省中国財務局は、これを「投資によって損失が出るリスクをどこまで受け入れられるかを示す限度」と説明しています。
そして主な判断材料として、次の4つを挙げています。
- 年齢(あと何年運用できるか)
- 家族構成やライフイベント
- 保有資産・収入の状況
- 投資経験や性格
数字で測れるものと、測れないもの
最初の3つは数字で測れます。
やっかいなのは4つ目、性格です。
日本証券業協会(現在は金融経済教育推進機構へ移管)の整理がわかりやすいです。
リスク許容度には、客観的な要素と主観的な要素の両方があるとしています。
客観的な要素は、収入・資産額・年齢・投資経験。
主観的な要素は、値下がりしたときに不安で眠れるかどうか。
数字の上では余裕があっても、眠れないなら、その人の許容度は低いということです。
【体験談】私は、自分の限度を完全に見誤っていました
投資を始めたばかりの頃、市場の暴落を経験しました。
含み損は、一時30万円。
投資した額の、約7割です。
画面を開くたびに数字が減っていくのは、想像よりずっとこたえるものです。
頭では「長期投資だから待てばいい」とわかっていました。
わかっていたのに、売りました。
知識は、恐怖の前ではあっさり無力になります。
そして数か月後、相場は回復しました。
あのまま持っていれば、損失はゼロだったのです。
今ふり返って思うのは、私の失敗は「売ったこと」ではないということです。
7割下がったら耐えられない金額を、最初に投資してしまったことが本当の失敗でした。
売る判断は、その時点でほぼ決まっていました。
財務省も「仕事が手につかなくなる」と書いている
意外と知られていませんが、公的機関がここまで踏み込んで書いています。
財務省中国財務局は、リスク許容度を超えた投資について、次のように注意を促しています。
「価格動向が常に気になって仕事が手につかなくなったり、大きな損失によって将来の生活に多大な支障を及ぼすことも考えられます」
お金の解説なのに、心の状態の話をしているわけです。
それだけ、限度を超えた投資は日常生活を削るということです。
自分の限度を測るときのNG3つ
最後に、リスク許容度を測るときにやりがちな失敗を3つ挙げます。
- ❌ 気合と根性で決める → ⭕「いくら減るか」を金額に直して決める
- ❌ 相場が上がっているときに測る → ⭕ 下がった日を想像しながら測る
- ❌ 一度決めたら見直さない → ⭕ 出産・転職・住宅購入のたびに測り直す
2つ目は、とくに見落とされがちです。
上がっている最中は、誰でも自分を強気に見積もります。
私が「暴落が来ても平気」と思っていたのも、まさに上がっている時期でした。
⚠️ 注意
投資には元本割れの可能性があります。この記事の試算はGPIF公表値をもとにした概算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
よくある質問
リスクが低い商品なら、損はしませんか?
損をする可能性は残ります。
リスクが低いとは「ブレ幅が小さい」という意味で、「減らない」という意味ではないためです。
また、リスクを抑えるほど期待できるリターンも小さくなります。
「ローリスク・ハイリターン」をうたう商品があれば、その時点で疑ってください。
リスク許容度は、年齢だけで決めていいですか?
年齢だけでは足りません。
財務省中国財務局も、4つの要素を総合して判断するよう示しています。
年齢・家族構成やライフイベント・保有資産や収入・投資経験や性格の4つです。
同じ35歳でも、子どもが3人いる人と独身の人では、耐えられる金額がまったく違います。
診断ツールの結果と、自分の感覚がちがうときは?
感覚のほうを優先してください。
診断が「積極型」と出ても、値下がりで眠れないなら、その人の実際の許容度は低いからです。
売らずに持ち続けられることが、長期投資では大きく効くとされています。
まとめ|今日やるのは「かけ算ひとつ」だけ
投資のリスクは、危険という意味ではなく「ブレ幅」です。
ブレ幅は数字で示せて、金額にも直せます。
そして自分がどこまで耐えられるかは、性格まで含めて決まります。
今日の一歩は、かけ算をひとつするだけです。
投資しようとしている金額に「0.7」をかけて、出てきた数字を紙に書いてください。
500万円なら350万円。
その金額になった画面を見ても平気だと思えるなら、その投資額はあなたに合っています。
胸がざわつくなら、その金額はまだ大きすぎます。
平気だと思える金額まで下げてから、始めてください。
※「0.7」は、日本株式のブレ幅(約2標準偏差)から出した目安です(試算の334万円を覚えやすく丸めています)。商品によってブレ幅は変わります。
次に読むなら、この2本がおすすめです。
※この記事の試算はGPIF公表の前提値にもとづく概算で、将来の運用成果を保証するものではありません。
執筆:よ~ちゃん(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/最終更新日:2026年7月19日
参考資料
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「分散投資の意義② 投資のリスクとは」
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「基本ポートフォリオの考え方」
- 財務省中国財務局「「リスク許容度」を考えよう」
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「投資の時間 リスク許容度」
- 三菱UFJ銀行「投資における「5つのリスク」を徹底解説」








コメント